こんにちは。
大人らしい大人になりたいとは思いますが、子供のまま年取ってしまっている気がしてしょうがありません。
ですから、この様な本を目にすると読んでみたくなってしまいます。
以前んも、同じ様な本のレビューをしてます。
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本物の大人になるには? [外山滋比古さんに学ぶ]
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川北義則さんの「みっともない老い方」<上手に老いたい>
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本物の教養を身につけたい[自分の意見を持つことが重要]
こんにちは 特に50代になってから、教養を身につけて、良い歳の撮り方をしたいと思う様になりました。 今回は、出口治明さんの『本物の教養』をもとに、教養を身に付けるはどういうことか、賢く歳をとる 方法な ...
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阿川弘之さんから、本物の大人とはどんな感じか、ちょっとでも学びたいです。
イギリスと阿川弘之
阿川弘之さんは、(1920年-2015年) 94歳まで生きられた。
戦争も海軍中尉として経験されている。(2.26 事件を中学生の時に目の当たりにして、その後陸軍嫌いになった)
作家としては、志賀直哉に師事。
『大人の見識』も海軍や戦争、志賀直哉のことなどが色々描かれた内容になってます。
エドワード・グレイの逸話
エドワード・グレイ(1862年-1933年)は 第一次対戦時にイギリスの外務大臣を経験した人物。
実に典型的な英国紳士であったと、幣原 喜重郎に評された人物。
グレイが、人間が幸福である為に必要な4つの条件が紹介されてます。
- 自分の生活の基準となる思想。
- 良い家族と友達
- 意義のある仕事
- 閑を持つこと
この中で、閑を持つこと に関して阿川さんの師匠、志賀直哉は共感したとの逸話が紹介されてます。
閑を持つこと は重要であるということについて、少し深掘りしてみます。
閑を持つことは大切
閑を持つとはどういうことでしょうか?
閑の反対は、仕事とういことでしょうか?
そうすると、仕事してないことは全て閑なのでしょうか?
閑と退屈の違いを考えたら理解しやすいと思います。
國分功一郎さんによると
閑は客観的に仕事などのすることに追われてない状態
暇と退屈の倫理学
退屈は、その人の主観的な感情で、何かしたいのにすることがない様な状況
今の世の中は、暇ではないけど、退屈な状況が溢れている
一人でいることを過度に恐れてはいけない。
閑な時こそ、自分を見つめ、思索を重ね、成長できるチャンスなのだ
エドワード・グレイも、人間として成長する上で、閑な時間が重要出ることを理解できていたといことだと思います。

ユーモアが無いと、イギリス紳士では無い
イギリス人のユーモアに関して面白い逸話が紹介されてます。
イングランド出身の議員が、スコットランド人を侮辱する演説をした
大人の見識 阿川弘之
『イングランドでは馬しか食べない燕麦を、スコットランドでは人間が食っている』
この発言に対して、スコットランド出身の議員が即座に応えた
『おっしゃる通りです。だからスコットランドの人間とスコットランドの馬は優秀なんです』
ちょっと間違えたら、問題発言として、大変なことになるところが、議会は笑い声に包まれて、なんの問題にもならなかった。
こうした、知恵が働くのがイギリス紳士の条件とされてます。
ユーモアとはどんなものか、とても的を得た表現がありましたので、紹介しておきます。
『一旦自らを状況の外へ置く』という姿勢。
『対象にのめり込まず、距離を置くという余裕』がユーモアの源である。
真のユーモアは単なる滑稽感覚とは異なる。
人生の不条理や悲哀を鋭く嗅ぎ取りながらも、それを『淀みに浮かぶ泡沫』と突き放し、
笑い飛ばすことで、陰気な悲観主義に沈み込むのを退けようというのだ。
それは、究極的には無常間につながる。
英国人にとってユーモアは、危機的状況に陥ったときに、最も大きな価値を発揮する。
遥かなるケンブリッジ 藤原正彦
イギリス紳士は余裕がある
もう一つ、イギリス人の逸話
イギリスの将兵は、飲酒禁止だったが実際には極寒の状況ではこっそりと夜になるとウイスキーやシェリーの瓶を開けて飲んでいた。
そこに、大佐が巡視にやってきた。
シェリーを飲んでいた若い兵士は、開けたばかりのシェーリーの瓶にロウソクを立てて、燭台に見せかけてごまかす。
大佐は、気が付かない風で、その場は何事もなく過ぎた。
それから数週間して、帰国休暇を許されたその若い兵士は、途中でバッタリとその大佐と出会い、バーに誘われる。
大佐は、ボーイにシェリーを2杯頼んで言うには
『君、ここのシェリーは蝋燭の匂いはしないよ』
大人の見識 阿川弘之
これはユーモアでは無いですが、大佐が大人で余裕がないとできなかったことです。
若い将兵も、その場が修羅場になって、怒られるより、もしかしたらズット応えたのではないでしょうか。
大切なのは、大佐も見逃したままにしないで、気を見てキチンと上司の役割を果たしていることです。
海軍と阿川弘之
海軍に属されていたこともあり、海軍に関する著述も多く残されてます。
帝国海軍は、イギリスに学んだこともあり、多くイギリス的なものがみられたそうです。
印象的だったのは、海軍でもユーモアは重視されていた様です
『ユーモアを解せざるもの、海軍にあらず』と言われたそうです。
これは意外でした。
究極の厳しい状況では、ユーモアは必要になってくると言うことでしょう。
それと、ユーモアにも繋がりますが、柔軟性も重視されたようです。
海軍予備学校の入学試験問題の逸話が面白かったので紹介します。
『アリの歩く速度は?』という質問に
大人の見識 阿川弘之
生真面目に『・・ノット』などと答えてはダメで
『世界中に何百種類ものアリがおりますが、どの種類のアリについてお答えしましょうか』
などとすれば、高得点。
『ここに5匹の猿がおって、6つの菓子がある。これに一切手を使わずに均等に菓子を分けるにはどうしたら良いか?』
答え『むずかしうござる』
とんちみたいですが、要するに相手の反応を見ていたのだと思います。
変なことを聞かれた時に、どれだけフレキシブルに頭を働かせることができるかを試されているのだと思います。
阿川弘之さんに学んだ、大人の見識
究極の厳しい状況になった時に、柔軟性をもって事にあたれる力があると言うことだと思います。
対象にのめり込まず、距離を置く余裕を持ち、ユーモアや知恵を駆使して局面を乗り切ることができるのが大人。