こんにちは。
百田尚樹さんの本は読みやすくて、『永遠の0』『影法師』『海賊と呼ばれた男』『フェルトナの瞳』など読んできました。
このブログでは、これまで『鋼のメンタル』『逃げる力』を取り上げてきました。
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今回は、本屋でずっと気になっていた『錨を上げよ』を読んでみましたので、ブログします。
『錨を上げよ』はどんな本か?
百田尚樹さんの略歴詳細は、こちら。
元、放送作家で、探偵ナイトスクープなど手がけられていたことは有名。
50歳を機に、永遠の0 を書いて小説家としてデビュー
この、碇を上げよ は、百田さんの半自伝的な小説ですが。どこまでが事実で、どこまでがフィクションかよくわからない内容です。
百田さんが、30歳過ぎに一念発起して書き上げて、その後は長い間お蔵入りしてたそうです。
小説家として、有名になった後に、日の目をみたという作品です。
ですから、百田さんの生まれてから30歳頃までの人生をモチーフに、フィクションも交えて書かれたものだと思います。
全て、ぼく という一人称で物語が進んでゆきます。
『錨を上げよ』の内様
『錨を上げよ』の主人公、ぼく(作田又三)は兎に角子供の時から、怖いもの知らずで、言いたいことは言う、我慢しない性格。
ぼくは勉強はあまり好きではなくて、不良仲間と喧嘩ばかりしていた。
高校も商業科の高校になんとか入学するが、ここでも喧嘩に明け暮れ、停学処分は数知れず。
なんとか卒業できたというより、なんとか生きのびたと思える様な高校生活を終えて、社会人になる。
私からみると、命が何個あっても足りない様な生活を送っていた。
しかし、トラブルは続き、喧嘩っ早い性格も災いして長くは続かない。
地頭は良かったことから、一念発起して大学受験勉強を開始。
中央大学法学部に合格するも、結局は中退。
その後も、トラブル続きで、見習いホスト、右翼団体員、パチンコ店員、レコード店員など北方領土のウニの密猟など職を転々とする。
その間に、実に多くの女性との出会いと別れを繰り返すという話。
『錨を上げよ』の感想
百田さんは、歯に物着せぬ物言いで、私から見ると怖いもの知らずの印象。
『鋼のメンタル』を読んで、そういう印象がより強くなってました。
又三が百田さんがぼくのモデルなら、百田さんは、元々がそういう性格なのだとよくわかりました。
兎に角、波乱万丈でグイグイ惹きつけられて、一気に読み切りました。
どうしてこんなに惹きつけられたのか?
又三の行動が兎に角熱いからだと思います。
私なら、ナアナアで済ます様なことも、納得いかなければ文句を言う。喧嘩もする。
何度も大怪我をするし、死にそうにもなる。
恋愛も、何度でも痛い目にあうし、結局は又三の失恋の形で終わる。
私のこれまでの人生で、逃げてきた様なことに、正面からぶち当たってゆく生き方が痛快で、惹きつけられたのだと思います。
なかなかできない事ですし、百田さんでもさすがにここまではできなかっただろうという内容でした。
百田さんの他の小説は、『永遠の0』『海賊と呼ばれた男』に代表される様に、どちらかというと 精錬で模範的な人物を主人公に据えられてます。
百田さんは、あとがきで書かれてますが、この小説はピカレスク・ロマン(悪漢小説)です。
主人公は、庶民や下層階級の出身で、品行方正とは言えず、しばしば社会のルールも破ります。
オーギー・マーチの冒険(ソール・ベロー)の影響を受けた作品と百田さんは認められてます。
結局
最後のところでは、まだこの小説が書かれた百田さんの年齢あたりで又三の物語は終わってます。
10代、20代の紆余曲折を経て、多分いっときの小休憩の様な状況の場面で終了してます。
しかし、このまま終わるはずはない。今後も波瀾万丈な人生が予想される終わり方でした。
1巻の解説で見城徹さんも取り上げてましたが、最後の又三の述懐で込み上げるものがありましたので、是非お読みください。