小説

平野啓一郎さんの『ある男』

こんにちは。

平野啓一郎さんの本については,以前『マチネの終わりに』と『スローリーディングの実践』をレビューしてます。

koibito
マチネの終わりに [分人主義と変えられる過去について]

こんにちは。 平野啓一郎 さんの マチネの終わりに を読みました。 久々に恋愛ものでした。 リンク 読んだきっかけ 平野啓一郎 さんの本は、以前もblogsで書きましたが、スローリーディングのすすめを ...

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今回は

今回は, ずっと気になっていた『ある男』の文庫本を本屋で見つけて即買い、一気読みしましたのでブログします。

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『ある男』の内容

里枝は、2児の母であったが、次男を病気で喪う。

それがきっかけで離婚、実家の宮崎で長男と生活。

宮崎で、大祐と再婚し、女児をもうけ、幸せな生活をおくっていた。

しかし、ある日突然、大祐が事故死した。

しかし、死後の諸手続きを進めるうちに、大祐が全くの別人であったことが判明。

里枝は、離婚の時に世話になった弁護士の城戸に相談。

城戸により、真相が徐々に明らかになってゆく という内容。

分人、過去は変えられるといった思想について

平野啓一郎さんについては、分人主義、過去は変えられるといった思想が知られてますが、

この小説の中の分人はどういった形で描かれているのか考えてみました。

亡くなった大祐ですが、亡くなった人(X)がなぜ大祐にならなければならかかったが、最後に明らかになります。

分人とは、多様化した社会で様々な人格があって良い、むしろそれを肯定する生き方のはずですが、Xはそれではどうしようもない事情があって戸籍を完全に変えて人生をやり直していました。

つまり、分人的対応ではどうしようもないほどに辛い状況があって、過去をそっくり変えてしまっていたのです。

それ自体もちろん違法なことですが、それによって一時的にも幸福を手に入れることができました。

弁護士の城戸についても、在日3世というバックボーンがありました。

結婚の時に少し、言われたが、大きな障壁や差別も受けずに生活できてます。

つまり、過去を変えることもなく、弁護士としての分人、夫としても分人そして、その他の社会と関わる人としての分人をうまく使いながら生活している様に私には思われました。

大祐の様に、違法な手段を使わなければ幸福を手に入れられない様な状況ではなかったと思います。

過去をそっくり変えるとしたら、人生好転するのか?

Xはどうしようもない事情があって戸籍を完全に変えて人生をやり直した。

そして、表面的には幸せを手に入れた。

しかし、本心としては、本来の自分のバックボーンも含めて里枝に理解して欲しかったはずだと、普通なら思われます。

Xが戸籍を変えた元の大祐も描かれてますが、戸籍まで変わると、元の自分の周りの人などのことも、全く気にならなくなる、全く別の人生を生きる様になる。

と言ってます。

もしかしたら、大祐も、元のバックボーンのことなどを理解して欲しいという気持ちも無くなっていたのかもしれないとも思いました。

これも、ひとつの分人の形なのかもしれないと思いました。

まとめ

人生の設定を、ごっそり変えて生きなおしたらどうなるか。

また、今の自分の人生を他の人が引き継いだら、もっとうまくやるのではないかと思ったりもしました。

自分の人生の設定といったものは、あまり意識しませんが、偶然そうなのだと意識させられました。

もちろん、設定は変えられませんが、偶然そんな設定だったと認識するだけで、すこし気持ちに余裕の様なものが生まれた気がします。

  • この記事を書いた人

bouzu-masa

50代 性格は内向的ですが、なんとかこの歳までサラリーマン生活を続けてます。経験をふまえて、同じ性格に悩む方に役立つ情報を発信します。趣味:読書、walking

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