考えてみたら、安部公房の小説をしっかり読んだことがなかった。
本屋で見かけたので、砂の女を買って読みました。
海外でも評価が高いとの宣伝文句に半分つられて読んでみました。
海外で評価が高く、英語版はこちら。
砂の女のざっくりした内容
ざっくり言うと、とても理不尽な目にあった中年教師の話しです。
詳しくはこちら
昆虫採集に来た、砂丘で砂穴の中の家に閉じ込められて、女と一緒にその家の維持のための労働を強いられる男。
もちろん、拉致で、犯罪です。
普通なら、そんな不便な家なんかトットとすてて、便利なところに移って快適な生活をおくったら良いと考えるはずです。
なんで、女はこんな砂の中の家にこだわって生きているのか、男にも理解できません。
そして、拉致された男がどうなってゆくかという話。
読むうちに、ちょっと待てよと思えてきた。
とにかく、不条理な目にあった主人公の心境変化を描いた作品と思います。
不条理な目に遭うのですが、自分がそれまで望んでいた生活は不条理ではなかったのか?
そもそも、この教師虫を採集するのが趣味で、何かの役に立つかというとそうでもない。
運が良ければ、自分の名前が虫につけられたりするが、それもだからどうしたと言われればそれまで。
毎日、家から砂をかき出すことだけに追われる毎日と何か違うか?
始まりが、自分の欲したことかどうかという違いはあるが、大して変わらないのではないか。
自分はどうか?
そう考えてくると、自然と自分自身について考えさせられます。
毎日、どうしてもやらないといけないことに追われてますが、本当にそうかという気になってきます。
所詮は、砂の家の維持に似た様なものなのでは無いでしょうか?
そもそもは、趣味と言われることは、他人には理解し難いことが多く、自分以外の人からは無意味なことに思われがちです。
- 中高年になって、急にマラソンにはまって、日夜走り続ける人
- 円周率を際限なく覚え始める人
- 延々とゲームをし続ける人
- いろんな物を収集する人
などなど、挙げればキリがありません。
例えば、円周率を覚えることにしても、自分がすすんでしている限りは問題ないのですが、強制されるところは大変な苦痛でしょう。
しかし、もしかしたら強制された人も、そのうちそれを楽しいと思い始めるかもしれません。
自分の生活をすこし余裕を持って見ても良いかも
もちろん、犯罪に撒き揉まれて、酷い目にあった男の話してですが、考えさせられる小説でした。
ということで、先日下の様なtweetをしました。
この主人公は、何度も脱出を繰り返しますが、徐々に心境に変化がでてきます。